時を超えて

人生をかけて愛した人の事を綴ります

カミングアウト

この日、私は彼の体温と香りに包まれて本当に幸せでした。


「ひとつになる」って、こういう事なんだと思いました。


お喋りも楽しくて、最高潮に盛り上がって......


それなのに彼はそんな幸せな空気を一変させるような、とんでもない事を言いだしたのです。


「俺、彼女と別れてきたんだよ。しばらくは電話もメールも無視してたんだけど、これじゃいけないなと思ってちゃんと別れてきたから」


は?

この人何言っちゃってるわけ?

バカじゃないの?

こういう情報って必要?


私は「彼女いたの?どれくらい付き合ってたの?何歳?」と矢継ぎ早に彼に質問を浴びせました。


「27歳。4年くらい付き合ったかな?」


何とここからご丁寧に、彼女との馴れ初めまで話してくれたのです。


平静を装って聞いていたけど、

貧乏学生だった彼が仕事に成功して自信に満ち溢れて、若い彼女まで作ってしまうほど変わってしまった事が寂しかった。


そして「電話もメールも無視した」


彼のこの余計なひと言が、私の自爆人生のきっかけになったのです。


それでも、彼に惹かれていく自分の気持ちを止める事はできませんでした。


これからどうなってしまうんだろう。


不安な心を彼が読み取ってくれたのかはわかりませんが、帰りの車の中ではずっと手を繋いでくれていました。


いけないとは分かっていても、彼の心が繋いだ手から伝わるような気がして、また会いたいと思いました。